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Q&A

破産申立ての直前に現金化した資産は現金として扱われないのですか?

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2022年11月30日

1 現金化することの意味

自己破産をしても、一定の範囲の財産は自由財産として手元に残すことが認められています。

自由財産として認められる一定の範囲の基準ですが、20万円以上の価値がある財産か否かがポイントになってきます。

ただし、現金については99万円までが自由財産として認められています。

たとえば現金を30万円、株式を30万円有しており、このまま自己破産の申立てを行った場合、株式は20万円以上の価値があるということになりますので、原則として手元に残すことができません。

しかし、株式を売却して、現金を60万円有している状態で申立てを行えば、現金は99万円以下ですので、すべて自由財産として残すことができるのではないかという疑問が生じます。

2 直前に現金化してもそれは現金化前の財産として扱われる

現金化する前の状態であれば破産財団となるべき財産を、現金化することで自由財産としてしまうと、債権者が不利益を受けてしまいます。

そのため多くの裁判所では、既に現金化されている場合にも、現金化される前の財産として取り扱う運用がとられています。

ただしこの取り扱いについては、99万円を現金で保有している家庭はほとんど無いという実態を考えると現実に即していないのではないかということや、そもそも上記取り扱いをすることが法律に規定されているわけでもなく、根拠が乏しいといった批判もあります。

3 有用の資への利用は許容される

財産を現金化すること自体は問題ではなく、また、現金化した財産を有用の資に利用することは許されています。

有用の資とは、生活費や医療費、公租公課などがありますが、破産申立てにかかわる費用もまたこれに含まれます。

そのため、破産手続によって自由財産として残すことができる見込みの薄い財産については、申立前に現金化してしまい、それを弁護士費用や裁判所に支払う予納金、破産管財費用に充てるといった対応をとることで、別途破産に関連する費用を準備する負担を事実上軽減することも可能になるわけです。

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