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Q&A

自己破産をしたら、海外旅行に行けなくなりますか?

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2022年5月11日

1 自己破産に対する誤解

自己破産をすると、生活の上で多くの制約が課されてしまうという印象があるかもしれません。

たとえば、自由にお金を使うことができなくなり、旅行なども簡単には行けなくなってしまうのでは、という不安があるかもしれません。

しかし、これらのイメージのほとんどは誤解です。

2 自己破産をした場合の旅行の可否

自己破産の開始申し立てをして、管財事件となった場合、長期間居住地を離れるときは、事前に破産管財人の同意や、裁判所の許可を得ることが求められます。

特に海外旅行か国内旅行かで違いはないですが、海外旅行の場合は基本的に“長期間離れる”ということになるかと思いますので、破産管財人の同意、裁判所の許可が必要となってきます。

こうした許可が求められる理由は、裁判所や破産管財人が、いつでも債務者と連絡を取れるようにしておくためです。

仕事上の出張などやむを得ない場合については、裁判所の許可も比較的出やすいかと思います。

他方で、借金の理由が浪費やギャンブルなどである場合、免責不許可事由に該当していることになりますので、最終的に裁判所から裁量免責を受けられなければ借金がなくならないことになってしまいます。

このようなケースで、娯楽のための海外旅行など緊急性のない行為を行うことは、当然裁判所の心証を害すことになってしまいますので、こうした旅行は極力避けるべきでしょう。

3 制限がなされる期間

なお、このような制限が課されている期間は限定的で、あくまで免責決定が確定して手続が終了したあとは、自由に国内旅行・海外旅行をすることができます。

したがって、海外旅行に対して一定の制約がかかるのは、まず同時廃止手続ではなく管財事件になっているということ、そして、免責が確定していない間ということになります。

破産手続開始申立てから免責確定までの期間は、数か月から半年程度であることが多いため(財産状況によってはそれよりも長期間となることもあります。) 、自己破産により海外旅行が制限されるのはかなり限定的なケースといえます。

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