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不法行為に基づく損害賠償請求権は非免責債権となるか

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2021年7月13日

1 非免責債権とは

自己破産手続を行い、免責許可決定が確定すると、破産債権についての責任を免れるため、借金はゼロとなります。

しかし、一部の破産債権については免責の効力が及ばないため、自己破産をした後でも支払いを行わなければなりません。

これが非免責債権です。

2 不法行為に基づく損害賠償請求権は一部非免責債権になるものがある

破産法第253条第1項第2号では、破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権が、同項第3号では、破産者の故意・重過失による人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権が挙げられており、これに該当する損害賠償請求権については非免責債権となります。

3 第2号と第3号の違い

上記の第2号と第3号は同じようなことを言っているようにも思えます。

しかし、まず第3号を見ると、「人の生命・身体」に限定していることがわかります。

さらに、単なる故意・過失では足りず、「故意又は重大な過失」が必要とされることから、かなり限定されていることがわかります。

破産法は、非免責債権となる場合を、限定的に規定しているといえます。

これに対して、第2号は、「人の生命・身体」といった限定はありません。

一般に、法律用語でいう「悪意」とは、「何かを知っていること」という意味で使われますが、これをそのままの意味でとらえてしまうと、ほぼすべての不法行為に基づく損害賠償請求権が非免責債権に該当するということになりかねません。

そうなってしまうと、せっかく第3号で限定的に非免責債権となる不法行為に基づく損害賠償請求権を定めたことの意味がなくなってしまいます。

そのため、第2号の「悪意」は、単なる故意では足りず、他人を害する積極的な意欲である害意を指すとされています。

4 まずは弁護士に相談

非免責債権に該当するかどうかの判断は、破産手続ではなされず、破産手続が終了した後で債権者側がそれを主張する場合に、別途訴訟内で争われることが通常です。

そのため、非免責債権に該当する不法行為か否かという判断は非常に難しいですが、非免責債権に該当するかどうかが問題となるようなケースについては、まず一度弁護士に相談して方針を検討すべきでしょう。

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